名前が表示される一瞬前の静けさ

  • 2019.05.02 Thursday
  • 01:17

例えば、久しぶりに聞いた声の違和感のなさが違和感で、切なくなったり。違和感があるかないかなんて、ずっと考えたことなかったのに、ああ違和感ないなって、そんなことを思ったこと自体が違和感で、とても切なくて。かかってくるとどこかで分かっていた電話に驚くふりをして、どうしてもよく理解してしまっていたあなたのことを思って、くすぐったい悲しさに襲われて。

 

手放したことを後悔する気持ちはあるけれど、それが本物の後悔なのか、それとももっと、自己中心的で嫌な感情の表れ方の一つなのかがまだ分からなくて、考えている。私が単に寂しいのか、所在がない気持ちなのか、人々に対して気まずいのか、それとも本当にあなたを失くしたことを悲しんでいて、今でも前みたいに隣にいてほしいと思っているのか。手のひらの上の感情をしっかりと量りたい。分からないままでいるのは怖い。

 

嫌だと、そんなの嫌だと言ってもよかったと思う。そう言ってほしいと思っていたのかもしれない。感情は間違いなく、あの夜、そう叫んでいたと思う。けれど、私の理性はよく分かっていた。一度距離を離して、視界に入らなければあなたは私を見ることはないし、私自身もあなたをもう少しきちんと見つめなおしたかった。私があなたをまた勝ち得るとしても、それとも新たな関係を大事にするとしても、かつて近しかった他人になるとしても、あの距離のままでいてはどれも得られなかった。それを私の理性はきちんと理解していて、我儘を言う感情の手を引いて、あの夜を抜け出した。

 

曖昧な関係だと思う。まだ、変わってしまった関係に対するくすぐったさをお互い感じていて、お互いを大事に思っていて、離れてしまった自分自身に対して責任は覚えているものの、相手がまだ離れていかないことを期待して、どこかそれに甘えていると思う。少なくとも私自身はそうだ。きっとあなたも少なからずそうなんじゃないかなと、日々のやり取りを見ていて思う。私の中に居座っている情けない期待が、私の口を開かせない。人に言えないのは、言いにくいからというのもあるけれど、言ってしまったら本当になってしまいそうで怖いからというのもある。本当なんだけどね。本当だと分かっているけれど、まだ認め切れていない。

 

揺れる心を揺れるままに受け入れてあげたい。悲しい日は悲しいままに、苛立つ日は苛立つままに。抗ってしまわないように。抗えば抗うほどきっと苦しくなるから、そうじゃなくて、その波に揺らるるままに。どこかへ漂着したときには、その地面を踏みしめて歩けばいいから。そのときまでもう少し、漂っていたい。色んなことを思う自分を許しながら、揺られていたい。

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  • 2020.06.04 Thursday
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