忘れ物をしたよ 昨日に
それを明日 探しに行くよ
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皐月中日と少し、そして水無月の夜
さあ、それは実に先日の事だった。
僕はついに彼女から旅立つ必要があるのだ。そしてそれは何年も前から始まっていた拙い物語だったのだが、しかしそうは言われても僕はあの夕陽を孕んだ眼を忘れられないのだ。
きっとそれはかつて恋を呼ばれたもので、いつか憎しみでいつか愛だったのだ。そしてそれはいつであっても彼女の存在自体であり、転じては僕の存在自体でもあった。その日に僕は生きようと思い死のうとも思った。例えば365回の朝があれば、366回目には少なくともその日は訪れる。彼女は僕の天使で姫君で、僕を再起不可能にする悪夢でもあった。しかしれどそれは、疑いようもなく僕を存在せしめる大きな力だったのだ。そしてその夢は覚めることを知っているのか。明けない夜に身を震い泣く彼女を抱きしめたいと思っていたのはいつのことだったろうか。

僕は彼女のいない世界を生きたことが、たったの一秒も無い。彼女は僕の知らない世界を安らかな呼吸のもとで泳いできたというのに。そしてそこに僕が飛び込んでいった。例えそこに彼女の存在を見受ける事など無かったとしても、僕の飛び込んでいった世界に彼女はいたのだ。そして潮は月日が導くようにし、僕たちの運命線は重なった。彼女の線が真っ直ぐで僕のが歪んでいたのか、逆なのか、それともどちらも歪んでいたのか、それは神様にしかわからないだろう。ともかく、僕たちの運命線は重なったのだ。近づき離れて、それでも重なっていた。濃くなることも薄くなることもせず、単と重なっていた。

そして、これはまた別の物語へのブリッジとなるのだが、その日は始まりかつ終わりであると同時に、また別のその日へのカウントダウンを始める日でもあった。また別の次元に生きる一人の人間をあらしめた、そうだ、神様はいつだって残酷で、一つ重ねてはまた新たになぞってゆくのだ。

そしてその新たな運命線の話は、まだ先の事であろう。
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