具体的な内容を抽象的に話すのにはわけがある。
そしてそのわけを行使して、抽象的に話す。
終わった、夏が。
もう思い描いていた全てが、私の構築材料の一部が、終わった。
ある意味悔しい程自由になった。夏が終わった。
関係ないんだから、と言いながらも抑えられない怒り。
それを宥める側に回ったのは初めてなのかも知れない。
今までお疲れさま。
本当に大好きだったし、これからも大好きだ。
爪切ってって言われても人の手にハサミを突きつける趣味はないんよ、私。
てか自分で爪くらい切れって一瞬思った。意味がわかったのはその一瞬後。
かなり怖かった。指切っちゃいそうだったもん。
でももうピアニストの指でも笛吹の指でもない。
強いて言うなら右手だったから利き手だったくらいだ。
絆創膏いる?になんで一回で素直に答えないかな。
素直さのかけらもないんだから、ほんと。言い飽きたくらい言ってるな。
そういう私も無言で渡して立ち去ったけどね。
私も大概素直じゃない。
多分半笑いだった。一回やってみたかったの、本物のツンデレっぽいやつ。
ネクタイすらろくに締められない。
もう3年生にもなってるのに、未だに。
もし幼稚園児だったら結婚の約束でもするんだけどな。
時が過ぎるのはやたら早いもんだ。
テンション高いと親切なんじゃない。
テンション低いと落ち着くんじゃない。
でも私はいつだって好き。
そこにあなたがいる事実に目の前の全てがくらくらする。
腕をつかんだのは、計算とみせかけた咄嗟だった。
何、って感じで振り返ったけど受け入れてくれるあたりが良いところだと思う。
そういうところが好きなんだとも。
素直じゃなくて、可愛くなくて、卑屈でへたれでへんてこりんで。
でも穏やかで優しくて、たまに厳しいと思うと照れ笑いする所とか、すごく好きだ。
どうしても誰に何を言われても、好きだ。
あなたにいじられた譜面台。
一瞬おいて返ろうとして、見えて、持って帰ってきた。
全ての思い出を大事にしておきたいんだもん。
楽譜もリードも時間も何もかも。
愛おしいと思うたびに
隣にいたいと思うんだ
夜中の1時過ぎに
貴方を思って
涙が止まらなくなった