何だろう、あからさまな方が色々言われないんだろうか。なんで拾われてるのかよく分からない。
なんか、半分意図的でもあるけど、今泣きそうだ。なんだか、泣きそう。決して辛くはない。決して幸せではない。
何が、何で、何だろう。私は思考の内容がわからない。思考は私を呑もうとする。私は私の中の、私の知らない何かに、呑まれようとしている。この感覚は久しぶりだ、しかし振る舞いを忘れたわけではない。ただウォーターベッドに眠るように身体の力を抜いて全てを任せるだけだ。思考は静かに私を呑む。私は思考に呑まれる、沈んでいく、呼吸さえ儘ならず。私の深海を私は知らず、しかし肌で知るのだ。肺で知り、瞳で知り、爪先で知る。音の届かない暗闇に耳鳴りが響く。私は私の中で溺死するのだ。
抑制された言葉は凶器だ。そこにかかる信じがたい圧力は、解放を待ち望み、そしてその瞬間に私の周辺世界が崩壊する。何かに取り憑かれた殺人鬼に人を追いやり、またある意味では率先したその犠牲者に成り下がらせる。私は瞳を見て笑いながら、毎日のように心臓に刃を突き立てる、誰とは言わない誰かに。私は地面を見て蔑みながら、毎日のようにその手に縋り付く、誰とは言えない誰かに。神様にはきっと見えている、私は血塗れたこの手で愛しい者に触れる、決して汚したくないのに誰かの生命でなんて。
言うならば、人の思考に乗り込んだ瞬間を己が知ることが出来ないのは一種の防衛反応だろう。一面に広がる黄色、そして青、そして小さく微かに見える私が知らない彼の時代。同じ世界から黄色が消えて緑が世界を乗っ取る。その白の中から広がる私が知らない世界の持ち主の中に、しばし私が存在したのは自惚れではないと思える。もし金銭で買える世界なら、その点に関しての躊躇いはあまり無い。ただその奥深い意味に私が怯えているだけだ。メタファを直列回路で繋ぐわけにはいかない。唯一の抵抗を取り除くわけにはいかない。私が恋しく思うあの幼子と重ね合わせるわけにはいかない、近くてそして一生戻れない景色。
泣きそうだ、本当に。何でだろう。半分意図的なのに、意図してない部分が、コントロールできないんだ。