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- 2024.01.22 Monday
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それは静かな恐怖でもあり、怒りでもあり、絶望でもあった。
当たり前だ。穏やかでいられるはずがない。内側の一番柔らかいところ、一番脆いところを、知りもしないうちに暴いていく指先。ぴん、と弾かれてしまえば、全てが死んでしまうと言うのに。いつの間にか潜られていた事実に気付いたときに、私は築いてきたものを全て壊してしまいたくなった。守らなければならなかったもの達を守り抜くには、私が自分の手で壊してしまうしかないから、と。
怒りよりも絶望で、絶望よりも怒りだった。だけれど、怒りの矛先は惑う。単純に、目の前にいる人を突く事も出来ただろうけれど、それで解決することばかりではない。迂闊だった自分を一突きしてやりたい。迂闊だった。大事大事と言いながら、こんなに粗末な扱いしか出来ないのならば、やめてしまえばいいのに。馬鹿馬鹿しい。大切だった感情も事実も何もかも、ここに放り込んできたのに、とてもとても大切な宝箱なのに、誰にだってあけられるような場所に置いてしまうだなんて。
置手紙は彼の人に届くように書かれていて、でもそれを置いた部屋には誰だって入る事が出来る。どうか、どうか見つけるべき人が見つけてくれますように。最後の最後、もう何もかも書かなければならない事が言い終わってしまって、もう貴方を守る私なんていらなくなってしまったときに、ふと気付いてくれたなら。
恐怖、怯え。信じる事がまた少し、怖くなってしまった。敵、という表現はしたくないけれど、でも相手はどこにいるか分からない。本心をどこかに残そうとするなんて、きっと愚かな事なのだろう。愚かで、愚かで、愚かなこと。もし人間が一人で生きられないのだとすれば、人の思考には原因、結果となる他の人物がいるはずで、つまり私は間接的に他者まで晒してしまっている。そして厄介なことに、その他者は本人そのままなのではなくて、私というフィルターを通した存在になっていて、部分的に薄められ部分的に濃くなって、元とは違う味になっている。知らず知らずのうちに、誰かまで駄目にしてしまいそうで怖い。
そして、自己保身、自分の思考や感情をコントロールできない時の逃げ場を失ってしまう事が怖い。私は本当に馬鹿で、ふとした時にふと壊れてしまいそうになる。決して強くなどなれないけれど、何とか逃げて発散して、今まで生きてきたというのに。ここを失えば私は死んでしまう。それはつまり、ここの存在を疑うようになってしまった段階で崩落が始まるということであって、静かに走る亀裂に水は滲みる。落ちてしまったハンプティダンプティは最後にはどうなったのだろう。
ただひたすらに直進する闇。肺に水を注がれて溺れていくように、藻掻いて光を探す。怖い。怖い。沈んでいってしまいそうだ。沈んでしまったらもう上がってこれない。どこに、どっちに進んだらいいんだ。穏やかな顔をして歩み寄る諦め。忘れることなんて出来ないかもしれない。ぶくぶくぶく、ぷちん。